SHONAN TO TOKYO

Trip

― Three Days on Two Wheels — Aug. 21–23, 2026 ―

湘南から東京まで、自転車に荷物を積んで3日間走ってきました。

速く走ることが目的でも、最短距離で東京を目指すわけでもありません。
泊まる場所だけ決めて、そこまで自分の脚で走る。
ただそれだけの旅です。

でも、自転車で旅に出ると、普段の生活ではあまり考えないことを考えます。

不便になる

まず、不便です。

持っていける荷物には限りがあるし、暑ければ暑い。
雨が降れば濡れます。

疲れたからといって、すぐ家に帰れるわけでもありません。
コンビニに入るだけでも、自転車を停めて、荷物を気にして、鍵をかける。

ちょっとしたことが、普段よりひと手間増えます。

ところが、その不便さに少しずつ慣れてくると、細かいことがあまり気にならなくなってきます。

「まあ、いいか」

旅をしていると、この言葉が増える気がします。

同じ日本でも、街の色が違う

湘南から東京へ向かって走っていると、街の雰囲気が少しずつ変わっていきます。

海の近くから住宅街へ。
川を越えて、大きな道路を走って、だんだん建物や人が増えていく。

東京に入ってからも、場所によって街の色は全然違います。

同じ日本なのに、こんなに違うんだなと思います。
そして東京の中だけを走っていても、「ここから急に雰囲気が変わったな」と感じる場所があります。

電車なら駅と駅の間として通り過ぎてしまうところを、自転車では全部自分の目で見ながら進みます。

観光地でも何でもない普通の街を走るのが、意外と面白い。

自転車旅の好きなところのひとつです。

途中、大雨警報

今回、一番強烈だったのは雨でした。

途中から雨が降り始めて、そのうち笑ってしまうくらいの大雨に。
雨宿りしても仕方がなさそうだったので、そのまま走り続けました。

たぶん10km以上は、かなりの雨の中を走ったと思います。

あまりの雨でスピードも出せません。
そうしているうちにだんだん暗くなってきて、道路の電光掲示板を見ると「大雨警報」の表示。

「あ、大雨警報なんだ」と、そこで知りました(笑)。

そりゃそうだよな、というくらい降っていました。

濡れるし、進まないし、暗くなってくる。
でも不思議なもので、旅の途中だとそれほど腹も立ちません。

もう濡れてしまったものは仕方ないし、ホテルまでは走るしかない。

そうなると、考えることがシンプルになります。

不便だと、いいところを探し始める

今回の旅で面白いなと思ったのが、これでした。

普段の便利な生活では、つい「足りないもの」を探します。
もう少し快適だったら、もう少し便利だったら、もう少しこうだったら、と。

ところが不便な状況にいると、逆にその中の「いいところ」を探し始めます。

雨だけど、そのぶん涼しい。
遅くなったけど、夜の街を自転車で走るのも悪くない。
疲れているから、途中で飲む水がおいしい。

ホテルに着いて、濡れた服を脱いでシャワーを浴びられる。
それだけで、かなり幸せです。

別に状況が良くなったわけではありません。

自分の見方が、勝手に変わっているだけなんですよね。

帰ってくると、また忘れる

3日間走って湘南へ帰ってくると、やっぱり家は快適です。

荷物はいくらでもあるし、雨が降っても無理に出かけなくていい。
疲れたら座れるし、お風呂もあるし、冷蔵庫を開ければ何か入っています。

「ああ、家っていいな」と思います。

ところが、これにもすぐ慣れてしまいます。

最初はありがたかったはずのことが、いつの間にか当たり前になる。
そしてまた、細かいことが気になったり、足りないものを探したりするようになります。

人間って、たぶんそういうものなんでしょうね。

だから、たまに旅に出る

旅に出ると「リセットされる」とよく言います。

でも今回のチャリ旅で感じたのは、普通のリセットとはちょっと違いました。

むしろ、逆リセットみたいな感じです。

快適な場所で休んでゼロに戻すのではなく、あえて少し不便なところへ行く。
荷物を減らして、自分の脚で移動して、暑かったり、濡れたり、疲れたり、予定どおりにいかなかったりする。

そうしているうちに、細かいことを気にしなくなって、今あるものの中からいいところを探すようになります。

そして家に帰ってくると、いつもの生活が少しだけ違って見えます。

もちろん、その感覚もいつの間にか薄れていきます。

だから、たまに旅に出る必要があるのかもしれません。

自転車に積めるくらいの荷物だけ持って、少し不便なところへ。

また「まあ、いいか」と思えるようになるために。

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