— 歩くことと、満たされること —
Arrival
出発の朝、
湘南の海へ、自転車で向かった。
短い時間だけれど、
波に乗って、身体を動かして、
一度ちゃんと水に入る。
それだけで、
気持ちの切り替えが終わった感じがした。
家に戻って、シャワーを浴びて、
そのまま東京へ。
湘南から東京へ。
今回は、電車。
グリーン車に乗って、駅弁を広げる。
それだけで、気持ちはもう旅に切り替わっていた。
移動そのものが、少しぜいたくで、ちゃんとおいしい。
浅草に着いてチェックイン。
部屋の窓からは、
スカイツリーと浅草寺が、全部見えていた。
景色がいい、というより、
「ここに泊まってよかったな」と
素直に思える眺めだった。
夕方、浅草を散策。
人の多さも含めて、この街らしい。
観光地なのに、なぜか落ち着く夜だった。
A Full Day on Foot
朝は、ローストビーフのモーニング。
朝からしっかりぜいたくで、しっかりおいしい。
そこから、上野動物園へ。
久しぶりの動物園は思っていたより広く、
園の中を歩く時間が、そのまま一日のリズムになっていった。
そして、この日なぜか一番印象に残っているのが、
ロッカー探し。
あるはずの場所に見当たらず、
あったと思ったら空いていなかったり。
こういう小さな出来事ほど、
あとからよく思い出す。
夜は、思い出の板橋で焼き肉。
記憶の中にあった店だけれど、
出てきた一皿目で、もう静かに驚いた。
「あ、こんなにおいしかったんだ」と思う間もなく、
次も、その次も、ちゃんとおいしい。
懐かしさよりも、
今の味が、記憶をあっさり上書きしていく感じだった。
正直、
もう一度このためだけに来てもいいな、と思った。
Leaving the City
朝ごはんは、緊張するくらいおしゃれだった。
料理も空間もきれいで、
自然と背筋が伸びる。
浜離宮を散策。
高層ビルに囲まれた庭園は、
街の中にぽっかり空いた、静かな余白みたいだった。
帰りも、グリーン車。
静かに揺られる。
行きと同じ電車なのに、
帰りは、ちゃんと満たされた感じがあった。
たくさん歩いて、
よく食べて、
三日間。
この旅には、
街の時間と、海の時間がある。
ボードも、波も、
最初にちゃんと触れてから来た。
それでも、
景色の見方や、歩く速度、
「今日はここまででいい」と思える感覚は、
いつもと変わらなかった。
水に入る時間も、
入らない時間も含めて。
それが、自分の旅のかたちなのだと思う。



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